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宮崎:でもさ、それにしても世界のレベルは高いよ。みんな背もデカイしね。NBAもそうだけどオリンピックとか、やっぱりスゴイよ、強い、本物だね。だから、オリンピックで大きいの相手に頑張ってる日本の女子を見たときは感動、涙モノだった。強い弱いっていうのは、はっきり言ってプロのあるのとないのとの差ですよ、完全に。日本みたいに企業の宣伝・広告費でチームを運営しているようじゃダメですよ。だから日本も今、JBLから抜けた6つのプロチームができたじゃない、あれ、すっごく応援してるんですよ、僕。そういうプロっていう目標があると、僕みたいに底辺で地域の子供達にバスケを教えている人間は嬉しいよね。小・中って僕が育ててさ、プロになるの!だから実は高校でもバスケットを教えたいから、高校の教員免許取ろうと思ってね…能代工に負けないくらいの選手に育てあげたいじゃない。で、待ってたんだけど空きがなくってネ…結局、家業を継いだんですよ。そんな時、大学から声がかかってね。それが僕が大学を卒業して3、4年目で、最初コーチとして入って、そのまま監督へ…。
菅原:幾つの時ですか?26〜7歳?
宮崎:そうだね、それから25年くらい監督やりましたかね。
奥村:ところで、小金井地域にいらっしゃるおじいちゃん、おばあちゃん達が試合を観に来るということがあってもいいと思うんですよね。私がアメリカでの拠点にしているノースウエスタン大学は「ビッグ・テン」という伝統あるリーグに所属していて、この大学自体は決して強くないんですが、ホームでの試合を観に行って面白いのは、おじいちゃん、おばあちゃん達がヨロヨロしながらも手を繋いで観に来るんですよ。小さな子供達を連れて、ベビーシッターも来たりするの。でも、子供達なんかはバスケットの試合、途中で飽きちゃってることも少なくない。ただいろいろな工夫がされていて、ハンバーガーの出店があったり、無料のピザが配られたり・・・全体的な雰囲気が楽しいのね。女子の試合は、男子よりも観客が少なくなる分、シカゴ・ブルズのチア・ダンスチーム「ラバブルズ」がハーフタイムに踊りにきたこともあったくらい。その光景を見るまで僕は、チアリーダーのダンスは、ちょっとセクシーだったりもするから、“お父さんのための余興”のようなイメージさえあったんですが、実は小さな女の子たちが大好きなんですね、チアを観るのが! ゲームよりダンスを真剣に観ている子もいるくらい。アメリカの場合、スポーツの試合のそこここに楽しませる要素が埋めこもうとしているんですよ。今、日本の状況に急にそこまで要求してもギャップがあるかもしれないけど、マーケティング的にはとてもコミュニティのためにもなるきっかけがずいぶんありますね。
菅原:日本でいうプロ野球とかは、それに近いんでしょうか?先日元プロ野球選手で今江戸川大学助教授の小林至さん(注/東大卒元ロッテ投手。その後コロンビアでMBAを取得。現在、江戸川大学でスポーツビジネスを教える。)のスポーツ・ビジネス論を聞いたところ、なんでもアメリカでは「球場の利益は球団に還元される」そうなんですよ。だから球団は利益のためにオープンスクールやったり、クリニックやったりするんですって。日本の場合は、球場の利益はその球場の利益でしかない」んですよ。その上、球場を使う球団が球場にお金払うっていうじゃないですか!
奥村:残念ながら、そうなんですよね。
菅原:だから小林さんが推奨してるのは「球団が球場にお客さんをたくさん呼んだら、その分球団に還元する」というスタイルなんですよ。日本の場合、もし呼んだとしても球団には一銭も入ってこない仕組みなんですって。だから球団も選手も、やる気なくなっちゃう悪循環なんですよ。
奥村:お金が何重にも循環するチャンスがあるのに、仕組みが稚拙なんですね。
菅原:そうなんです、盛り上がっても儲からないんですね。
小笠原:バスケットをやってない人間として、今までお話を伺ってたんですけれど、専門的な話や、経験者だから「あーアレね」って分かるような盛り上がりにはついていけないところがあったんですけど、聞いていて非常に面白いなぁと思ったのは、先ほどの1対1がどうで、3対3で試合を決めろ!とかいう戦略のお話で、“限りある資源の中でいかに戦略的に勝ちを手に入れるか!?”というところに非常に興味をもちました。
その人の戦略の中身ですよね?だからゾーンディフェンスっていうのは、こういう意味があるからこうしてる、みたいな。それを一つ一つ聞いているうちに、僕もしたくなったんですよ、バスケットが。プレイはしてないんで体感できないから分からないんですけど、知的好奇心っていう考えで。
素人考えで申し訳ないんですけど、「スラムダンク」っていうマンガがすごく学生の中で流行ったと思うんですよ。僕等の世代では、あれを読んでバスケットやりたい!って言ってた仲間が多くてね。カッコイイじゃないですか、アレ。何か始めようとすると、まずスタイルから入る世代なんですよ、僕等の世代っていうのは。さらに、僕、あのマンガで面白いなぁって思ったのが、いちいち解説が付いてるんですよね。
宮崎:そうそう、そうだ!
小笠原:マンガの中で注釈文みたいなのがあって、“ゾーンディフェンスとは、これこれこういうことなのである”なんていう解説があることによって、バスケを知ってる人が見れば単純なことでも、バスケを分からない人からすれば、その解説を読むことで分かってくる。しかも体で楽しむということは体が動く世代の方だけの楽しみになってしまうんですが、頭で知識とかでスポーツを楽しめるようになってくると、もう全然違う楽しみ方に替えることができると思うんですよ。視覚で楽しむとか、体で楽しむとか、いろいろな方法で楽しみ方ができると思うんです。そういう楽しみ方の広がりや、知的好奇心への刺激だとか、皆さんのお話を今聞いて、本当に引き込まれていったんですよ、途中から。ワクワク、ワクワクしてきて、そういう感覚ってスゴク面白いんだなって思いました。
宮崎:さすが、経営者ですね!(奥村、菅原も深くウンウンと頷く)
小笠原:バスケに精通なさっている方々の前で、こんなこと言って恥ずかしいんですが…つい。
宮崎:いえいえ。やっぱり経営もチームプレイですからね。例えば、この従業員は、ここではなくあっちに配置した方が、よく働いてくれるんじゃないだろうか?とかさ。従業員のことをよく見てないと、適材適所に配置するなんて分からないことですよ。
奥村:そうそう、前にお目にかかった時に伺った、小笠原さんが持っておられるビジョンとフィロソフィーに、すごい刺激を受けているんです。えっと、具体的には、、、 すみません、あの時、酔っ払わなければ覚えていたんですけど(苦笑)。経済的な成功のことには一言も触れず、食文化、食材の価値、そしてマネジメントなど、話してくれたコンセプトが明晰そのものだった。
一同:(笑)
宮崎:やっぱり、わかる。僕も一応、経営者!家業をやってますからね。で、松下商学院ってね、滋賀県の草津にエアコン工場があって、そこに松下幸之助氏が経営者を育てるための専門学校をつくったのね。海軍兵学校みたいにそこは全部寄宿舎制で、朝6時起床で工場の周り5キロくらいを走るんですよ。で、戻ってきて寄宿舎の周りを掃除して、朝飯を食って寄宿舎へ教わりにいく。すべて寄宿舎の中に揃ってますので、そこから出る必要がない。出れるのは日曜日だけ。そこに僕は行ってたんですけど、そこで教わったのは従業員管理だとか、人はどうやって動くかだとか、人の心理みたいなものを習いましたよ。雑学としても、経営者いつ何時お茶の席に呼ばれるかもしれないから、お茶の作法も知っとけ!だとかね。あと体を鍛えることも必要だっていうので、剣道か柔道か、どっちかが必修なんですよ。でもね、僕バスケット好きだから、先生に「球技大会やりましょう」って言って、校庭にバスケットコート作って欲しいって頼んだの。そして、夏のお盆の時期には学院の決まりで京都とか、滋賀で一ヵ月半の販売実習に出て、毎日日報書いて提出するっていうのをやってたんですが、そうしたらね、僕が夏休み実習から帰ってきたら、ちゃんと校庭にバスケットコート出来ててね。
一同:へぇ〜(驚)
宮崎:でしょ。なかなか、そこの学院長も話の分かる粋な人でね。「どーだ、お前の言った通りゴール作ったから、どーだ、やれよ!」とか言ってくれちゃって、200人の生徒を集めて、「・・・・・学院長の厚意でこんな立派なものが出来ましたので、バレーボールとバスケットの球技大会をやります!」って言って実現したんですよね。即席チームでしたから勝てはしませんでしたけどね。で、みんなに賞品何がいいか?って聞いたら、夜食のラーメンがイイ!っていうんで、またまた学院長に「優勝チームにはインスタントラーメンを用意してください」って、お願いしてね…即席で手作りだったけど本当に楽しいバスケットの思い出ですよ。
だから小笠原さんの適材適所の感覚って、バスケットのチームプレイに似てるな、分かるなって思うんですよね。そこで学んだのは「仕事をしたら適正な利潤をえること」が始まりで決して奉仕ではない、それを捨てたら、もう仕事とは言えないんだって。まぁ、そんなこと習ったんだけど、卒業したら電機業界の職に就くっていう誓約書も書いたのに、いざ出たら半分以上が他業界に行っちゃったのね。だから今、松下商学院に入る誓約書って、ものすごく厳しいんですよ。でも他業界でも皆経営者になってるけどね。
菅原:松下政経塾とは違うんですよね?
宮崎:そうそう、違うんだけど、その構想から商学院の何年か後に「日本を変えるには政治家を変えないと駄目だ」「世の中を変えないと商売の仕組みも変わらない」「正しい政治社会を作ろう」っていうんで、松下政経塾ができたんですよ。バスケットと政治って関係ないようなんですが、監督っていう立場からだと、まんざら関係なくもなかったり…でね。まぁ、そういう政治や経営については、奥村先生の方がお詳しいから。
あとね、監督してみて分かったのが、今は自分が個性やスキルを見ながら教えていって、その子達にチームプレイをさせているから、そこそこ皆が良いプレイができるんだということ。あと、マネージメント、監督という立場で勉強になったのが、小学生っていうのは感情とか体形とか、いろいろな変化が起こる時期なんだよね。そんな難しい時期の子達に、インサイドのプレイってのは、あーでこーで教え込むんじゃなくって、その子が自分で得意なプレイ、適材適所を見つけるよう、いろんなセットプレイを教え、あらゆるポジションを経験させてあげなきゃいけないんだなって。そして中学行って高校行って、また違う監督について自分のバスケをやればいいんだなってね。固定観念を子供に押しつけちゃいけないんだなって、思ったね。
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